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お正月の昔話と逸話

お正月の昔話と逸話

初詣、お正月に関する逸話、昔話の紹介

干支とお正月

猫
 まだ人間も生まれていない大昔のお話です。その昔、神様はその年、一年間を守護する神様を動物の中から決めようと考えました。
動物たちに、神様は新年の元旦に神殿へ早く来たものから12匹目までを守護神とし、干支と呼ぶことにします。とおふれをだしました。
うっかりものの猫は集まる日を忘れてしまったので、通りすがったねずみに「集まる日はいつだったか」と聞きました。するとねずみは「新年の2日だ」と答えました。
猫はこの言葉を信じて、2日に神殿へ行きましたがすでに元旦に順番は決まってしまっていました。 ネズミ・ウシ・トラ・ウサギ・タツ・ヘビ・ウマ・ヒツジ・サル・ニワトリ・イヌ・イノシシが初詣の順番です。 子、丑、寅、卯、辰、巳、午、羊、申、酉、戌、亥と守護神の名前が与えられました。 猫は鼠に騙されたと気がつき、この時から猫と鼠は大変、仲が悪くなってしまいました。 それからは猫はねずみを見ると追い掛け回し、この時の恨みを晴らそうとするのだそうです。

火の正月

火の正月お坊さん
 お正月を明日迎えるある日のこと、お金持ちのお家に旅のお坊さんがやってきました。そして、一晩泊めてくださいとたのみました。
金持ちの主人は、大変けちでした。お坊さんの身なりを見て、汚い者に貸す部屋などない!と追い払いました。
お坊さんは、今度はとなりのおんぼろ家に声をかけました。そこには貧しいけれど、大変に心優しいおじいさんとおばあさんが住んでおりました。
「貧乏で、初詣・年越しの食ベ物は1つもありません。温かい薪しかありませんが、どうぞ入ってください」  いろりには赤々と火が燃えていました。お坊さんは、囲炉裏の前に腰掛けると、袋から何やら取り出して、お湯のわきたつなべへ入れました。しばらくすると鍋にはグツグツグツとおいしそうなぞうすいがなべいっぱいに煮えていたのです。 その夜、お坊さんのおかげで、おじいさんたちは久しぶりにいい年越しが出来ました。 次の朝、お坊さんは出発の準備をしながらながら、御礼に何か欲しい物はないかと尋ねました。 二人は、何もいりません。出来るなら、若返りたいですねと答えました。 それなら、井戸の水を元日の朝に汲み水をわかしてあびてみなさいと言い、去っていきました。 二人がお坊さんに言われた通り、元旦に若水を汲み沸かして浴びると、不思議な事に十七、八才の若者に若返ったのです。 そして若返った心の優しいおじいさんとおばあさんは、ずっと幸せに暮らしたという事です。 このお話は豪華な食べ物や正月飾りなど無くても、暖かい“火”さえあれば、新年・初詣は毎年迎えられるというお話です。 人の心の暖かさの象徴の“火”を正月に再確認して穏やかな一年を過ごそうという昔ながらの言い伝えです。 物が溢れる現代において人や神仏への感謝の念が忘れられることも多いです。新年の初詣にはこのお話を思い出してお参りしてみて下さい。

かさ地蔵

かさ地蔵
 貧乏だが、心の優しい老夫婦が住んでおりました。正月が近いのに家には米が1粒もありません。おじいさんは笠を売って正月のお料理を買おう、良い初詣を迎えられるようにと町へ出て行きました。しかし、1つも売れず、トボトボと帰って来る途中、雪の中、寒そうに立つ六人のお地蔵さんに会いました。かわいそうに思って、売り物の笠をかぶせて帰ってくる。おばあさんは「それは善い事をされた」と喜びました。
2人は大晦日を空腹のままでしたが、話や歌で穏やかに年越しをします。その真夜中、外で音がするので見てみると、あの笠を掛けてあげたお地蔵さん達がお正月のご馳走を沢山積んだソリを引いて来ていました。こうして2人はお地蔵様のおかげでお正月を幸せに過ごすことができました。もちろん、ふたりは御礼を言いにお地蔵さんの所へ初詣をしたそうです。

正月初詣の神さま

七福神
 大晦日の大変な雪の晩、貧乏だけれど心の優しい老夫婦の家へ訪ねれる人がありました。この夫婦に7人の旅人が笠を貸してほしいと言いました。雪がますますひどくなる中、家の中を探して、オンボロな笠やカッパは見つけだすが、どうしても1つ足りない。おばあさんは、ご祝儀用に取っておいたカッパがあることを思い出し、快くそれを差し出してあげました。それを感激し、大喜びしながら旅人たちは帰っていきました。
次の年の大晦日の晩のことです。夫婦の元に、突然笠を貸してあげた旅人達がやってきました。この旅人達の正体は七福神だったのです。七福神はこの夫婦に「去年の御礼だ!」と言いたくさんのご馳走や小判を持ってきました。
びっくりしている二人に「もっと欲しいものはないか?」と聞きました。「こんなにたくさんあります。もうありません」と「でも、子供がいたならなぁ・・」とつぶやきました。神様は明日の朝、2人顔を合わせて「おめでとうございます!」と挨拶しなさいと言い残して帰って行きました。  2人は言われた通りにしてみると、若者の姿に変わって二人はびっくりました。しばらくして、二人には子供が授かり末永く暮らしました。夫婦は初詣には必ず七福神の祭られている所を参拝するようになったそうです。

神様からの贈り物

初詣の橙黄赤白緑の五色幕
初詣、正月の飾りの由来
 むかし、一人の孝行者がおったそうな。
 家が貧しいので、昼は他村にでかせぎに行っておりました。夜は、自分が食べる分の食べ物を持って行き、父母に食べさせておりました。そうして孝行をしていたそうです。
ある大晦日の夜更けに、棺を背負って歩いてくる爺さんと出合いました。どうしたのかと声をかけると、爺さんはたった一人の孫が死んでしまった。それを弔いに行くんだよ。貧乏人だから誰一人手伝ってくれる人もないんだと言いました。
不憫に思い、爺さんの代わりに棺を担いで歩き出しました。しばらく歩いていると、爺さんは急に姿が見えなくなってしまいました。孝行者は、棺を如何したらいいのかと途方に暮れていたけど、担いだまま自分の家に帰りました。 父母にも、その話をし、棺の蓋を開けて見ると、中には目もくらむばかりの大判、小判が詰まっていたんだと。  これは「神様からの贈り物だ」とたいそう喜びました。隣近所の人達を呼んでお祝いをし、お礼参りに初詣へいったそうです。孝行者と家族は大金持ちになり、幸せにくらしました。  正月の元旦、初詣に出かける前に、橙黄赤白の色紙で仏壇やカマドを飾るのはその孝行者のお話から始まったと言われているそうです。

お正月はめでたくない?!

一休さん
 「とんち」でお馴染みの一休さんのお話です。初詣でにぎわう町、汚い身なりの坊さんがやって来ました。長い竹ざお一本をかついでいるんですがその先っぽに、なにやら白っぽい物がくっついています。よく見ると、骸骨でした。人々は、薄気味悪がって一休さんを避けて、訝しい目でみています。一休さんは全く気にせず、骸骨をかついでどんどん歩いていきます。町で一番のお金持ちの金屋久衛さんの家の前にくると正月のあいさつにまいりました!と、言いました。
 家の中から主人が出て見ると、汚い身なりの一休さんが骸骨をつけた竹ざおをつき立てて、立っていました。主人は腰をぬかして、真っ青になり言いました。一休さん、正月に骸骨を持って歩くなんて、縁起が悪いじゃないですか!主人よ、誰でも正月が来ると、一つずつ平等に年をとる。という事は、正月が来るたびに、それだけ死に近づくわけだ。だから正月が来たといって、浮かれてもいられない。どんな人でも、必ず、いつかは死に、このようなどくろになりはてるんだからな。生きているうちに、いいことを沢山しなさい。そうすれば、極楽へ行けるのだから。 あなたは、大金持ちだ。あまっているお金は困っている人たちの役にたつように使いなさい。大金持ちの主人をはじめ、町中の大勢のお金持ちが一休さんの教えを守ったと伝えられています。

正月のお年玉

正月のお年玉
お年玉の由来
 お年玉は、もともと年神さまの霊魂が本来の意味でした。年神さま陰陽道の名称によっていますが、民俗学的には、年神さまは祖霊とされています。お年玉というのは、来訪した年神さまを、まだ力の弱い者たちに分かち与えて元気づけようという意図がありました。それで子供達や目下の者にお年玉をあげるようになりました。
正月のお年玉の昔話   むかし、ある所に何でも縁起をかつぐお店を開いている旦那さんがいました。ある年の大晦日の事でした。旦那さんは、店の者たちに言いました。明日、お正月の神さまをお迎えして、初詣へ行くのだから、いつもより、丁寧に掃除をしなさい。店には、誰よりもよく働く女中さんがいましたが、そそっかしいところがあるのでした。女中さんはすみからすみまで、きれいにぞうきんがけをしようと張り切って、床の間を拭いていた時です。  おかみさんから買い物を頼まれました。そそっかしい女中さんは、ぞうきんを床の間に置きわすれたまま、買い物に出かけて行ってしまいました。そして、買い物から帰えるとぞうきんがけの続きを忘れて別な仕事を始めてしまいました。  元旦の朝。旦那さんが床の間の掛け軸を七福神に、替えようとすると、汚れたぞうきんがあるではありませんか。旦那は縁起が悪いとカンカンになり女中を呼んで、ガミガミと怒鳴りつけました。謝っても謝っても旦那さんの怒りは納まりません。 店の番頭さんが、ぞうきんは縁起が悪いものではありません。ぞうきんを当て字で書けば、蔵と金。蔵に金が貯まるという訳です。なるほど!確かに、縁起が良い!と大喜びです。旦那さんは、番頭さんと女中さんにお年玉をあげました。二人はそのお金で初詣に行ったそうな。

天の福、地の福

天の福
 あるところに、正直者と欲張り者が隣同士で住んでいました。偶然に初詣で出会った二人は、初夢には良い夢を見たいなと話しました。そしてお互いにどんな夢をみたかを、教え合う事にしたのです。
 さて、正月三日の朝、正直者は天から福を授かった夢、欲張り者は地から福を授かった夢と教えあいました。そして正月が過ぎて、いく日かたったある日、正直ものが裏の畑を耕していると、くわの先が何かにぶつかりみると、大きなかめが埋まっていました。
 正直者がふたを取って見ると、財宝がぎっしり入っていてます。これは隣の人が見た夢の地福に違いないと思い、知らせに行きました。
 正直者は、かめが出た場所を教えてやり、家に帰ると、お嫁さんにこの話してやりました。隣の欲張り者は、かめの出た畑へ行き、かめのふたを取ってビックリ!中には財宝どころか、気味の悪いヘビが何匹も入っていました。騙されたと思い込んだ欲張り者は、顔をまっ赤にして怒りました。 かめをかついで正直者の家の屋根にのぼり、持って来たかめのふたを取ると、ガバッと中の物を落としました。ところが不思議な事に、中から出てきたた物は本物の大判小判だったのです。二人は天の福が授かったと喜びました。こうして正直者の夫婦はお金持ちになって、幸せに暮らしたという事です。

初夢小僧

初夢小僧
 正月は初詣などをしてゆっくり過ごしている小僧さんたちへお店の旦那がたずねました。 正月の二日の初夢にどんな夢を見たか聞かせておくれ。小僧さんたちは話しましたが、最後の小僧さんだけは話そうとしません。初夢はいい夢だったから、人には話しませんといいます。いい初夢は、人に話すと叶わなくなると昔から言われています。その小僧さんの初夢が気になって仕方が無い旦那は初夢を買おうと言いました。百文、、、、二百文、、、、百両ならどうだ!けれども小僧さんは話しません。 旦那はついにカンカンに怒って、怒鳴りつけ、なんと粉もちの弁当を渡されると、小舟に乗せられて海に流されてしまったのです。
小僧さんの乗った小舟は風に流されて、ある島にたどり着きました。 たくさんのサルたちがやって来て、歯をむき出して、小僧さんにおそいかかって来ました。 小僧さんはもっていた粉もちを投げると、サルがひろって食ベはじめました。その間に小舟に乗ってサルの島を逃げ出しました。 小舟に乗っていると、また別の島にたどり着きました。 小僧さんが島にあがると、今度は大勢の鬼たちがやって来てました。小僧さんはあっという間に取り囲まれてしまいました。また、粉もちを投げ逃げようとしましたが、鬼たちは見向きもしません。それどころか、小僧さんにつかみかかろうとします。 その時、ちっと待ってくれ!そのかわり、今迄誰にも教えなかった初夢を教えてやる。すごい夢だぞ! とっとと話せと鬼たちが言いました。話してやるが、言い終わったら食ってしまうんだろう!すごい夢だから、何かしてもらわないとな!と小僧さんは言いました。そこで鬼たちは、大きな車を引いてきました。 これは千里万里の車といって鉄の棒で一回たたけば千里、二回たたけば万里を行くすごい車だと自慢げに言います。小僧がわざとしぶい顔をすると、鬼たちは今度は一本の針を持って来ました。 この針は生き死にの針だ。一刺しすると元気な者はすぐに死んでしまう。だが死にそうな者はたちまち元気になると言いました。 小僧さんは生き死にの針を鬼から貰うと、千里万里の車に飛び乗って鉄棒で一打ちしました。小僧さんは鬼の島から無事に抜け出すことができました。 千里万里の車は、川近くにある大きなお屋敷の近くでした。みんな悲しげな顔で、家の周りをウロウロしています。聞いてみると、このお屋敷の娘さんが病気で、今にも死にそうだという事です。 それを聞いた小僧さんは、お屋敷の中へ入り、生き死にの針を取り出し、娘さんの体にひと刺ししました。 するとみるみる娘さんが元気になったので、家の人は大喜びして、小僧さんを娘さんのお婿さんに迎えました。 小僧さんは、毎日不自由なく楽しくくらしていました。ある日、川の向こう岸のお金持ちの家でも娘さんが病気になり、うわさを聞いた家の人が治してほしいと頼んできたのです。 また小僧さんが娘さんに生き死にの針をさして治してやると娘の婿になって欲しいといわれました。 体は1つしかないから2人の婿にはなれないと小僧さんがいうと、家の間の川に立派な金の橋をかけてくれました。 小僧さんは光り輝く金の橋を渡り、一ヶ月の半分ずつを2軒の家で過ごすことになったのです。 小僧さんが見た初夢とは、この二人の家の間にかかる金色に輝く橋を渡る夢だったのです。

正月の門松

正月の門松
 門松の材料は、地域によって、松竹のほかにユズリハやウラジロを飾りますが、どうして飾るようになったかに昔からこんな話があります。 ある所に一人暮らしの大工がいた。飯を食わない妻をもらいたいといつも思っていたら、ある夜きれいな女がひとり訪ねて来た。飯を食べないから妻にしてほしいと言うので、その女を妻にもらった。女は本当に男の前では物を食べなかった。
ところが、隣の人が男が仕事に出た後、大釜に御飯をたいて食べていると言うのです。男は仕事に行くふりをして、隠れて見ていました。女は男が仕事に出たのを確認すると、倉から米を降ろして来て、本当に大釜に御飯を炊き、頭が2つに割れ、その中の口に御飯をほおりこんで食べていました。女は化け物だったのです。
男は夕方にいつも通り帰ったふりをしました。その夜、女に別れようと告げると女は仕方が無い。でも、大きな臼を一つ作ってくださいと言いました。それは大工の男にはたやすい事で、すぐに大きな臼を作ってやりました。
その臼を私に担がせてくださいというので、臼を持ち上げて担がせると、女はたちまち鬼になりました。男を臼に入れ、そのまま山へ走りました。何とか逃げるチャンスを伺っていると、山道にユズル木があり、枝が張っていたので、男はその枝に跳びつきました。鬼は気づかず山奥まで走って行きました。 枝から降りると下にウラジロがいっぱい茂っていたのでその中に身を隠しました。鬼は、途中で男がいなくなったのに気がつき、探しに戻って来ましたが、ついに見つけることができませんでした。 男は、ユズリハとウラジロのおかげて助かりました。このお話から正月には悪いものが入ってこないように、一年無事に過ごせるようにと願い、ユズリハ、とウラジロを飾るのだそうです。

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